何から突っ込む…いや、何から質問すればいいのだろう。


透理は頭をフル稼働させたけれど、現状さえまともに把握できていないわけで、全く整理がつかない。


結局、透理の質問は一つしかない。


「何がどーしてこうなるの…」


断っておくが、透理は馬鹿ではない。


これでも全国模試2桁の常連だ。


この目の前の男に、喰ってかかるだけ無駄だということは、数度の会話で理解した。


透理の直感が告げていた。


この男は、どえすだ。


なんなら鬼畜性があるかもしれない。


反抗的になるほど、この男は愉しそうに顔を歪めるだけだ、と。


この辺り、透理はすこぶる敏感だった。


男の本質を見抜くのは、透理にとって身を護る術でもあった。


君子危うきに近寄らず。


透理はその言葉の意味を、身を以て、知りたくもないけれど知っていた。


なんかもう、色々泣きたい。


こんな訳のわからない状況に放り込んでくれた元凶に、こんな上から目線で面倒みるとか言われても、感謝の気持ちなんて髪の一筋たりとも思わない。