透理が朝餉を綺麗に胃の中に収めた頃、2人の舌戦は透理が思わぬ方向に向かった。


「わかった。それならどちらが上か、1番公平な透理に決めてもらおう!」


押し問答に飽きた清明が、とんでもないことを提案した。しかも玉若も頭に血が登っているのかなんなのか。


「良かろう!しかしただ勝負するだけではつまらぬ。負けた方は勝った方の望みを一つ叶える、ということでどうじゃ?」

にんまりと笑う玉若。


いやいや、私、めっちゃ無関係ですよね⁉


透理は目を剥いた。


ここは抗議しなければ!このままだと無駄に責任を問われ兼ねない。


「ちょっと待て!今の話のどこに私が出てくる要素があるの⁉大体、私の保護者は清明なんだから、その時点で公平な訳ないでしょ!」


言ってみれば、玉若が居なくてもどうにかなるが、清明という財布が居なくては透理の生活が成り立たない。


「私は清明に味方するに決まってんでしょ!私は清明がいなきゃここで生きていけないんだから!」


何が楽しくて他力本願を自分で宣言しなきゃならないのよ。


しかし、情けないことに透理にとって、これは歴然とした事実。


視線を2人に戻せば、清明も玉若も毒気を抜かれたような、呆れたような、憐れむような目で透理を見ていた。


私だって、こんなこと胸張って言いたくないわいっ!


えぐえぐ。


ちょっと泣いていい?