透理が清明の元で修行を初めてから数日が経ったある日。


朝餉の準備を免除された透理が充分に惰眠を貪り、いい加減に起きろ!と玉若に蹴り起こされ、寝ぼけ眼を擦りながら身を起こせば。


目の前には玉若が用意した朝餉。


そして、朝イチで目にするには神々しいばかりの、笑顔のどえす男がいた。


朝餉の席に清明が同席していたことに、透理は目を見開いた。


「どうしたの?珍しいね」


清明は普段、透理とは別に食事を摂っている。
これまで透理の朝餉に清明が同席したことはない。


これは単純に活動時間帯の違いによるものだが、だからこそ、透理の朝餉に清明が同席することは珍しい以外の何物でもない。


「清明、仕事行かなくていいの?」


お膳の前に座りながら、透理が首を傾げると、清明に実に爽やかに笑った。


「……清明。絶対なんか企んでるでしょ」


透理はひくりと、身を引いた。


そんな透理を見た清明は、やはり相変わらず爽やかな笑顔のままに


「おはよう、透理。ずいぶん遅い朝だね?」


嫌味以外の何でもない言葉を吐いた。


ぴしり、と透理の眉間に皺が寄った。


「清明。朝からわざわざ嫌味を言いに来たわけ?そりゃまたずいぶんと暇なのね」


透理は汁物がよそられた腕を手に取り、敢えてゆっくりと口に含んだ。