やや呆れたような表情の玉若に、清明は星読みを中断した。
「悪政とは、またずいぶんだねぇ?人間の政事なんて妖からみればそんなものなのかもしれないがね」
「たかが人間ごときに清明が頭を下げる必要がどこにある。そなたは大妖、葛葉の血を引く者ぞ」
「そうは言ってもね。そりゃ普通より寿命は長いかもしれないけど、身体は人間なんだから、働いて金を稼がねば食べていけないだろう」
「それくらいわかっておるわ」
ふん、と玉若が拗ねたようにそっぽを向いた。
理解はしても納得はできない、ということはままあること。
清明は苦笑して、玉若を宥めた。
「まあ、今上帝は先の帝より遥かに聡明な方だよ。僕の母の件もどうにかすると言ってくれている」
「ふん。先の帝とやらが暗愚すぎるのであろう。葛葉の件、妾は許してはおらぬ」
「僕だって許してないよ。でもそれとこれとは別だよ。母に害を成したのは先帝で、今上帝じゃない」