「無自覚って何よ?私はちゃんと私を自覚してますけど」
「そうじゃなくて。多分、世界を跨いだ時の空間の歪みが影響したんだろうね。もとの世界じゃどうか知らないけど、今ここにいる君は間違いなく高い霊力を持ってるんだけどね」
「へぇ?それじゃあ私にも清明みたいなことができるってこと?」
ちょっと興味が湧いてきた透理は、自分に霊力云々はさておき、とりあえず詳しく聞いてみることにした。
知らないことばかりの世界なんだから、知っていることは一つでも多い方がいい。
「ちゃんと訓練すればね。とりあえず外出は駄目。どうしても暇なら蹴鞠でもやってなよ。護狐に相手させたらいいよ」
この話はおしまいね、と清明は部屋を出て行ってしまった。
結局、今日もやることがない透理。
ああ、現代社会って暇潰しできるものが沢山あったんだな、と今更ながらに現代社会の恩恵をありがたく思う透理だった。