「あぁ…女性がそんな格好をするものじゃないよ」


床で大の字になって転がっていた透理に声を掛けたのは、墨染の狩衣を着て、烏帽子を被った清明だった。


「ぅーむ。清明。一大事なんだよ」

「ほう?一大事とは?」


興味深そうに口元に笑みを浮かべて部屋に入ってくる清明に、透理は身体を起こすと、ちょっとここ座れや、と床を示す。


相手は帝の信も篤い希代の陰陽師なのだが、透理にとっては諸悪の根源であり、当然敬う気持ちなんて毛頭ない。


「一大事とはどういうこと?」

「うん。実は……暇なんだよ。このままじゃ暇過ぎてミイラになってしまう」

「………」


腕を組んで、深刻そうに一人頷く透理。


「そういうわけで、外に出たいんだけど、せめてご近所のお散歩くらい……って、なんで無反応?」

「みいら、とはなんだ?」

「気になるのソコなわけ?」

「他に何がある?」


透理ちゃん、がっくり。