自身が知らない自身を発見できたというのは、なかなかに貴重だろう。
目の前で起きた様々な受け入れ難いことも、あるがまま受け入れてしまえば何てことはない。
結局大事なのは、自身がその環境でどう生きるかであって、そこに他者の意識が介在する余地はないのだ。
……あ。ダメだ。
哲学者ぶってみたけど、よくよく考えてみたら、若干論理破綻してるわ。
こんな無理矢理な論理展開で、自分を納得させようとか考えた私が馬鹿でした。
なんかすいません。
今まで自分は馬鹿じゃないと思っていたけど、こうなってみると案外馬鹿なんだな、とヌケサクっぷりに引き続いて発見してしまう。
透理に出来ることは目の前の男にとりあえずお任せするしかないらしい。
むしろ元凶たる男が私の面倒を見るのは至極当然のことじゃないか!
こういう時は開き直って上から目線に限る。
「ね?君、大丈夫?僕の話聞いてる?」
ぽむ、と頭に手が置かれたーーと思ったら、次の瞬間。


