見目麗しいその姿に私は釘付けになった。
色白な陶器肌。
綺麗な二重の大きな瞳。
細身のモデル体型。
すべてがパーフェクトに見えた。
今まで…こんな綺麗な人見たことない。
そこらへんのモデルや芸能人より、
よっぽど綺麗だ。
なんて…考えてたら。
いつの間にか彼はすぐそばまで降りて来ていた。
ヤバい…このまますれ違うだけで終らせたくない。
すれ違う瞬間…私は強く念じた―。
“お願い…声をかけて!”
一歩、二歩。
足音は遠ざかって行く…
“やっぱりダメだったか…”
残念なんだけれど、諦めきれないやるせなさ。
『でも…仕方ないよな。』
そう思って肩を落とした私の背中に声がした―。
「あの、すみません。」
振り返ってそこには、
さっきの彼がいた―!
うわぁ…綺麗だ。
間近に見た彼は本当に綺麗だった。
彼の瞳の奥に吸い込まれそう…
きっと、ポカンとした顔をしていたんだろう。
「あの…?
あぁ、すみません。
僕、美容師なんです。」
ナンパしてくれたと思っていたら…
モデルハントだった。
要するに彼が働くサロンのモデルを探していたそう。
なんだ…