坂口美里とガルダスト


「美里・・・どうしたの?」


 カオリに言われて、一瞬にして私は、元の世界に戻る。


「え?何が?」


「今、何かすごくボーっとしていたわよ。」


「え?そう?」


「もしかして、私、何かいけないこと言っちゃったかしら?」


「あ、いや、そんなことないよ。」


 そう、カオリは、何も悪くない。


 悪いのは、私の夢。


 私の将来の目標・・・。


「そう?ならいいけど・・・。さぁ、行きましょう。まだ、先は長いわ。」


 不審な瞳のまま、カオリは再び私の手をとる。


 その瞬間、私の中でのモヤモヤが、少しだけはじけた。


「あのね!」


 思わず、声を張り上げる私。


 突然の大声でカオリがたじろくが、とりあえず無視だ。


「ど、どうしたの?」


「私は・・・私はね!将来、ガルダストを作りたかったんだ。自分でガルダストを作って、自分で操縦して・・・それが私の夢で、カオリと同じように・・・・・・。機械の勉強も少しずつだけど、やっているんだよ。」


 カオリの手をつかんで半歩乗り出しながら、まるで、まくしたてるように、口にする。


 自分の言葉でないような、どこか、そんな気がした・・・。