「いいから、ちょっと行こうよ。こっち、こっち。」
たじろくカオリの手をつかんで、引っ張るナンパ男その1。
しまった!
強引タイプのナンパか?
たまにいるんだよなぁ~
女は、押せばみんな倒れるとか、考えているんじゃねぇぞ。
この自己チュー野郎!
「やめてください!」
私が、そんなアホなコトを考えながら、仕方なしに男の股間に蹴りを入れるコトを決意した瞬間。
「え?・・・何?」
それは唐突の出来事だった。
カオリは、つかんだ手首をひねり返してナンパ男の手を振り払うと、次の瞬間、相手の男の手首を握り返して、くるりとひねったのだ。
そうなると、当然手首が痛いため、男は身体を反転するしかない。
背中を向けて、カオリによって両手を押さえつけられるナンパ男は、さながら警察に取り押さえられる犯人のようだった。
驚くべきは、その動作までの時間がわずか1秒足らずだったこと。


