坂口美里とガルダスト


「誰があんなやつ?・・・カオリに聞かれたから、答えただけだよ。」


「ハイハイ・・・美里も案外、素直じゃないわねぇ~。」


 笑顔を向けるカオリがどこか腹立だしかった。


「そういう、カオリこそどうなんだよ?兄弟とか、家族のこととか?」


「別に、話すことじゃないわよ。私は一人っ子だし、親も仕事で会社が家のような人たちですもの・・・。私より、会社の人に聞いたほうが、両親のコトをよく言い当てると思うわよ。」


 うっ・・・確かに、聞くような内容ではなかった・・・。


「でも、朝ごはんは、いつも一緒だって・・・。」


「でも、そんなに会話を交わすわけじゃないわ。昨日、どんなことがあったのか話すぐらいでお終い。それでも、小さい頃は、お母様だけでもよく一緒にいてくれたけど、さすがに、今の歳になってまで、親がいないことを寂しいとも思わないわよ。」


 そういうものなのだろうか。


 私は、いまだにお母さんには一緒にいたいと思うけど・・・。


「そういうものなのかな~・・・あ、でも、私とカオリの間には三つの年齢さがあるんだっけ?」


 つまり、カオリは私の年齢を体験済みだが、私はいまだカオリの年齢を体験していないということ。


 その差は、思いのほか大きい。