『ゲートオープン』
蛍光灯はいつものように、謎の漆黒の穴を作り出していた。
「・・・美里・・・お前もしかして・・・。」
「さぁ!どーんと行ってみよう~!」
いぶかしめた兄貴の言葉はとりあえず無視して、力いっぱい兄貴の背中を押す。
「うわっ!」
自分の脈略どおり、足を滑らして穴に落ちていく坂口睦月17歳。
「私も行かないとね。」
それに続くかのように、私も用意していたボストンバックと一緒に、兄貴に続いて穴に落ちて行った。
いつものように気持ち悪い感覚が私を襲い・・・。
「うわっ・・・気持ちワル。」
気がついたら、いつもの公園に出ていた。
ただ、今日は近くに見知った顔が二つある。
「本当にそっくりね・・・ビックリだわ。」
一人は、この世界の住人であり、超高級セレブのお嬢様であるアマネ=カオリ。
「ここは・・・どこだ?」
もう一人は、自分と血を分けた正真正銘の実の兄である坂口睦月である。
二人が並ぶと、本当にどっちがどっちだか分からないぐらいに顔が似ていて、面白い。
双子の兄がいるっていうのは、こういう感覚なんだろうな・・・。
「あ、カオリ。どう、これが私の兄貴。似ているでしょ?」
「えぇ・・・ビックリだわ・・・。でも「兄」ってことは、この方もしかして男性なの?」
そりゃ、カオリが驚くのも無理はない。
何せ、自分だって時々疑いたくなるもの・・・。
「うん。」
「へぇ~。」
感心したような声を上げるカオリ。


