「どうして?」


「いいから、いいから・・・。」


 何とか、力押しで私の部屋に引きずり込む。


「なんなんだよ?・・・で、その問題ってなんだ?」


 もちろん、兄貴に見てもらうための問題なんて、部屋中どこにもない。


 あるのは、私がいつも寝ているベッドとぬいぐるみ。あとはガルダストのプラモデルと、あのとき、松本おじさんから買った蛍光灯ぐらいだ。


「それなんだけど・・・兄貴。ちょっとその蛍光灯をのぞいてみて。」


「?」


 顔をいぶかしめながらも、素直に蛍光灯の中を覗き込む兄貴。


 その瞬間。


「カイト=ウリグス=ダイゴロウ=サトル=タケチャン!」


 私は急いで、例の呪文を蛍光灯に向かって叫んだ。


 いつもの通り、謎の光を放つ蛍光灯。


『ゲートが開きます。危ないですから、白線の外側までお下がりください。』


 どこからか聞こえる、謎のアナウンス。


「え?おい、みさと?」


 そりゃ、兄貴が驚くのも無理はない。


 私だって、最初は腰が抜けそうになるぐらい驚いたぐらいだ。


「大丈夫、問題ない問題ない。」


 等と言いながら、私はしっかりと距離を持ってその様子を見ている。


 何度見ても、やっぱり白線の内側に入る勇気は持ち合わせていないのだ。


 そして・・・