右手を引いたまま、先ほど警備員に対入り禁止と言われた領土内を走り抜ける。
途中、ガルダストのすぐ脇を潜り抜けたのは、ちょっとした感動だった。
そして、そのまま走ること、数分。
見えてくるのは、まるでネズミーランドでしか、見ないような巨大なキャッスル。
入り口は、体育館の入り口ぐらいあるガラス張りの両開きドアで、金色の不思議な装飾品がある。
二人の警備員が両側に構えており、当然、名札なんて入り口に構えているはずはない。どう考えても、私の知っている「家」という概念を大幅に覆している・・・。
私、本当にこんな場所に来ていいのかな・・・?
カオリのフリル付きの服はよく見れば、高級素材を使っているし、アクセサリーもどう考えてもガラスとは思えない。
庶民の私には、一生かかっても無理だろうな・・・。
私がそんな感傷に浸っていると、カオリは何の躊躇もすることなく(自分の家なのだから当然のことなのだが)そのキャッスルに入っていく。
扉を開くことすら警備員がやってくれるなんて・・・私にはそれだけで驚きだ。


