坂口美里とガルダスト


「え、それは・・・。」


「あ、そういうことは聞いちゃいけなかったことよね?・・・でも、私そういうことに憧れていたんだよね~。異世界からの未知の遭遇ってヤツ。」


 目を恍惚に光らせて、まくしたてるカオリ。


 おそらく、先ほどの私ってこんな感じなのだろうな。


「まぁ、いいわ。せっかくだから食事しましょう。もう夕飯の時間よ。まさか、ここまできて断らないわよね?」


 そりゃ、先に喜んだのはこっちなのだ。


 断るはずもない。


「え?ええ・・・もちろん。」


「だったら、さっそく行きましょう!さあ、中に入ってちょうだい。」


 ずっと、離さないままだった手をひっぱり、カオリは私を広場内に招き入れた。


 そういえば、先ほどの警備員と思えた人は、ここは私有地だと言っていた。


 と・・・・言うことは、私が広場だと思っていた場所は、カオリ家の庭!!??


 私は思わず足をすごめてしまう。


「え、えぇ?」


 そりゃ、そんな声も出るってものだ。


「どうしたの?」


「あ、いや、こんな場所、初めてなもので・・・。」


「気にすることないわ。あなたに階級は関係ないんだもの。」


 うれしそうに私の右手を引くカオリ。


「た、たしかに、そうですけど・・・。」


 私の言葉は、カオリには届いてなかった。