坂口美里とガルダスト


「いい名前ね。私の名前はアマネ=カオリ。カオリでいいわ。ねぇ、美里さん。よかったら、これからお食事でもどう?」


 さすが、セレブのお嬢様。


 初対面の人間にお食事を誘うあたりは私たちの常識を逸脱したところにいる存在なのだろう。


 ・・・・・・・・って言うか、食事?


 確かに、ここは自分たちの世界にそっくりな世界ではあるが、食文化となればやはり全然違ってくるだろう。


 もしかしたら、見たこともない料理が出てくるかもしれない。


 私の思考回路は早かった・・・・。


「本当ですか!?」


 再び立ち上がって、声を張り上げる。


 異世界の料理!!


 しかも、いきなり高級料理が食べられる!!


 先ほどまで沈んでいた私の好奇心メーターが再び、持ち上がるってものだ。


 もちろん、拍手したその手は離さない


「え、ええ・・・。かまわないわよ。」


 たじろくカオリさん。


 それでも、やっぱり、その手は離さない。


「ありがとうございます!!私、一度、異世界の料理ってものを食べてみたかったんです!」


「異世界?」


 再び、口が滑ったと思ったのは、カオリさんのこの言葉を聞いてから・・・。


「え、あ・・・あの・・・。」


 必死に言い訳を考えてみるが・・・。


「もしかして、アナタ異世界から来たの?」


 今度、声を張り上げたのは、カオリさんの方だった。


「え、えっと・・・まぁ・・・。」


 どうせ信じないと思って、肯定してみた。


 この後、どうせ『あなた、本当に大丈夫?』と続くと思ったのだが・・・。


「本当に!・・・どうりで、鉄人機ぐらいで驚くはずだわ!名前のイントネーションも少しおかしかったし、ねぇどうやってこの世界に来たの?」


 え、信じるの・・・?


 カオリさん・・・セレブなのに・・・。