坂口美里とガルダスト


「ここは・・・?」


 口にしたところで、分かるはずもない。


 とりあえず、外の空間みたいなので手に持っていたブーツを履く。


 そして、立ち上がりあたりを見回す。


 最初に発見するのは、入り口に使った蛍光灯。


「これが、なければ帰れないものね。」


 私は、とりあえず蛍光灯を左手に持って歩き始める。


 緑の木々、生い茂る草花・・・。どこにでもあるような風景。


 おそらく、ここは魔女の森。


「いい天気。」


 思わず、空を見て思った。


 さっきまで、死ぬとか思っていたのがウソみたいだ。


 とりあえず、散策してみる。


 いったい、何が出るだろうか。


 ドラゴン?一角獣?ペガサスとか出たら、興奮しすぎて鼻血が出ちゃうかも・・・。


 そんなことを考えながら、歩を進めていると、私はとうとう森の終着点に辿りつく。


 そこが、どうして森の終着点だと分かったのかは、実に単純な理由である。


 そこから先は、アスファルトで舗装された道路だったからだ。


「へ?」


 思わず、予想外の展開にスットンキョンな声が漏れる。


 アスファルトで舗装された道路。ご丁寧に歩道と車道まで別れている。


 車だってきちんとタイヤ付きで走っているし、これといった変わったデザインでもない。


 歩道を往来する人たちも、これといったおかしな格好とはいえない。


 スーツ姿に、制服姿、もちろん私服の人も、ちゃんといる。


 遠くには鉄道が走っていて、そこに電車が走っているのが見えた。


 ガラス張りの高層ビルが立ち並んでいるところから、自分たちが住んでいるところより圧倒的に都会だが、それでも、魔女の国としてこれはない。