「あ、白線の外側に出ないと。」
駅でもあまり守っていないルールを、私はこの時だけは律儀に守った。
万が一、白線の内側に人体に影響を及ぼす不思議な光線でも出されたらたまったものじゃない。
蛍光灯からは、先ほどの薄水色の光から、カラフルな色を放ちながら点滅している。
どうやらワッカの部分が入り口になることは、考えなくても分かった。
周りのカラフルな点滅が終わると、ワッカの部分が開いていく。
『ゲートオープン』
再び、蛍光灯からアナウンスが聞こえた。
文字ごとく、扉が開いたのだろう。
私は、恐る恐る蛍光灯のワッカの部分を覗き込む。
そこには、漆黒と呼ぶにはふさわしすぎる、真っ黒な穴が見て取れた。
ごくっ。
思わず、生唾も飲んでしまうって物だ。
あまりにも、私の前に広がっている光景は現実離れしすぎている。


