「うん、もちろん止められてもやるつもりだったけどね・・・。」
と、言っても蛍光灯をさすりながら呪文を唱える程度、人前じゃなければ、これと言って止められる理由は見つからない。
隆も、まさかこれが本当に魔法の国への入り口だとは思っていないから、な~んにも起こらなかった。というだけで終わるのだろうと思っているのだろう。
でも、あのお婆さんの持ち物である以上、何か仕掛けがあることには間違いないのだ。
せめて、それを解明しなくては・・・。
「ほら、ついたぞ。」
「うん。ありがとう。」
徒歩で帰ったため、行きの倍近くの時間をかけて、自宅に帰る。
玄関の前で、隆から荷物を受け取って、今日は解散。
まぁ、別にそれでしばらく会えなくなるというわけではないので、寂しいとも思わない。
帰り際、彼が手を振ったので、一応律儀に振り返してあげた。
「さて!」
隆が最初の交差点を右に回って見えなくなってから、気合を入れて家の中に入る。
「ただいま~。」
挨拶もそこそこに、駆け込むのは二階にある自分の部屋。
リビングで、兄貴がソファーで横になってテレビを見ているのが見えた。
あ、そうだ。後で、ビデオ予約したガルダストSFGを見なくては・・・。
でも、今はそれより・・・。
私は、フリマで買ってきた荷物を広げて、真っ先に蛍光灯を手にする。
「さてさて・・・、まずはやってみないとね。」
蛍光灯を左手に持ち、右手でこする。
瞬間、カチッとなる感覚があって、蛍光灯が薄水色にひかり出す。
おそらくスイッチなのだろう。


