「だからって、こんなコトしていい事にならないでしょ!!」


 私は思わず、叫んだ。


「うるせぇ!!何も分かってないくせに、自分勝手な理屈で、俺に説教するな!!」


「分からないよ!!分かる訳ないよ・・・でも、分からないけど、これは悪いことなの!!兄貴に言われたの!!悪い大人にはなるなって、あの時・・・泣きながら、悪い大人にはなるなって・・・。」


 思わず、目から涙がこぼれていた。


 どうして、泣いているのか分からなかった。


 悲しかったんじゃない。


 もちろん、痛かったわけでも感動したわけでもない。


 でも、どうしてか涙が出ていた。


 私の頭の中には、美雪の死んだ夜の兄貴の泣き顔が頭の中で渦巻いていた・・・。


 瞬間。


「おじょう~さま~。」


 絶妙なタイミングで、轟音にも近いエンジン音が私の鼓膜に響く。


 顔を向けると、そこに映ったのは、コックピットが開いたまま、こちらに向かうガルダストと、そこからのぞいている爺やの顔。