坂口美里とガルダスト


「うるさい!!話に聞いている、聞いていないじゃないの?あなた、今何やっているか分かってる?犯罪よ!!犯罪!!お母さんお父さんがこんな姿見たら泣くよ?マジで」


 この場合、こういう説得はあまり効果がないと、この前テレビの特番でやっていたが、他に言葉が思いつかなかった。


「うるさい!!」


「うるさいのは、あなたの方よ!!」


 その動きは突然だった。


 カオリはハンドルを握ると、一気にガルダストの出力を上げ、鉄人機との距離を詰める。


 一瞬相手がひるんだ隙を突いて、拳銃を持っている手に強烈なハイキック。


「うわっ!」


 鉄人機の手を離れ、宙を舞う拳銃と、バランスを崩して倒れこむ鉄人機。


 地面につくまでの暇は与えない。


 カオリは、ガルダストを起用に操ると、倒れ込もうとしている鉄人機の胴を左手で支え、右手で頭をつぶした。


 これが、人だったら、これで殺人事件になってしまうのだが、一応、彼女のやったことは、タダの破壊行為。


 しかも、相手が犯罪者ということだから、正当防衛の線で硬いだろう・・・。


 爆発音が私の耳に響く。


 鉄人機の頭部が破壊されたのだ。


「な、なんだ?何も見えなくなったぞ!?」


 鉄人機のパイロットは、あからさまに動揺していた。


「頭を壊せば、何も見えなくなる。ロボット番組の王道でしょ?頭は飾りじゃないんだよ!」


 私の決め台詞。


 決まった。


「まさか、趣味でならっていた合気道が、こんな形で役に立つとは、思ってなかったわ・・・。」


 ・・・が、何かカオリの決め台詞の方が、かっこよかった。


 やっぱり、ガルダストのパイロットはカオリなんだよなぁ~。


 悔しいけど・・・。