坂口美里とガルダスト


「もしかして、警察か?警察がもう来たのか?」


 あからさまに男の声は動揺している。


 鉄人機にも、それが現れているところが、何か愉快だ。


「だから、正義の味方だって、言っているでしょ?ほら、その手に持っている、札束の袋を足元において、さっさと降りてきなさい!」


 先ほどより、強い口調で行って見る。


 気分は、ノリノリ警察官。


 こんなときに不謹慎か・・・。


「う・・・うるせぇ!!俺はこんな話聞いてないぞ!!」


 明らかな動揺した声を出しながら、鉄人機はお金の持っていない左手で、背中をまさぐる。


 背中に、何か仕込んであるのだろうか?・・・と、おろぼろげに考えながら、黙って見ていた私たちだったが、次の瞬間、言葉を失う。


 鉄人機が背中から取り出したもの・・・それは、巨大な拳銃だったのだ。


「・・・・え?」


 カオリの間の抜けたような声。


 そりゃ、そうだ。


 カオリのガルダストは武器がない。


 というより、この世界にガルダスト用武器なんて存在しない・・・。


 少なくとも、この時まではそうだった・・・。


「どこか行け!!」


 鉄人機、発砲。


「危ない!!」


 即座に、カオリからハンドルを奪って、思いっきりまわす。


 瞬間。耳に響く銃声。


 カオリのガルダストは、バランスを崩して倒れこんだが、おかげで銃弾は避けることが出来た。


 まぁ、私たちはコックピットの中で身体を思いっきりぶつけたが・・・。