「まぁまぁ、二人とも・・・。」
松本おじさんは、いつもの柔和な顔で私たちを制すると。
「御代は要らないよ。俺の発明品じゃないんだから・・・。その代わり、大切に扱ってくれよ。そして、使い方なんだけど、確か、おばあさんが言うには、蛍光灯をさすりながら呪文を唱えると、その蛍光灯から不思議な光が溢れるとか、何とか・・・。」
「ますます、胡散臭いな・・・。それで、その呪文は?」
隆の顔が怪訝の表情に変わる。
それとは対照的に、私の好奇心センサーはMAXレベルだ。
自分で自分の表情を見ることはできないから、わからないが、おそらく興奮で目が輝きはなっているだろう。
「え~と・・・なんだっけ、確か、カイト=ウリグス・・・・え~と・・・。」
「ダイゴロウ=サトル=タケチャン!」
私が、松本おじさんに続いて、言葉を続ける。
「ああ、確か、そんな呪文だった・・・気がする。でも、どうして美里ちゃんがそれを?」
当たり前だ。割り箸人形を作るときに唱えた呪文。
家に帰ってから、何度も何度も兄貴と一緒になって復唱した。
今でも、鮮明に思い出すことができる。
「なんか、その呪文・・・他になかったのかよ?適当な男性の名前、つなげただけじゃないか?」
どこまでも、興奮に水を指す男め・・・。
「あぁ呪文は、何でもよかったから、お婆さんが今まで付き合ったことのある男性の名前をつなげたらしい。」
「テキトーだな・・・。」
さすがに、それは私も思った。
っていうか・・・・ウリグスって、何人!?


