坂口美里とガルダスト


「でも、まだアルタス様のお考えが、本当であると決まったわけでは・・・。」


 そのとき、爺やがウソをついていると思ったのは、タダの直感。


 やっぱり、爺やも気がついていたのか・・・。


 噂が本当だってことに・・・。


「爺や。お願いです。取り越し苦労なら、それはそれでいいのです。何も、全てを私たちで行おうとは思っていません。頼りにしているのです。」


「ならば・・・。」


 このような愚行に走るのはやめてください・・・か?


「でも、それでも私は理解する必要があるのです。睦月様がおっしゃったように・・・。」


「・・・・・ですから・・・。」


「『無駄』ということを理解することも、立派な勉強ですわ。」


「・・・・・・・・・・・」


 押し黙る爺や。


「・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・」


 しばらく、四人の間に沈黙の間が流れる。


 そして・・・。


「分かりました。お嬢様のため・・・今回ばかりは、折れて差し上げましょう。」


 爺や、完敗の瞬間だった。