「こんにちは、松本おじさん。どう、売り上げは?」


 私はガラクタの中央に腰掛けている黒ひげのおじさんに声をかける。


 40歳は優に超えているであろう、おじさんは、自分の倍以上の体積を持っていて、出っ張った腹を重そうに、あぐらをかいた足に乗せていた。


 相変わらず、タバコ臭い・・・。



「おぉ、美里ちゃんに隆くん。また来たな?まぁ、いつものとおりだ。」


「つまり・・・」


 隆が声をかける。


「全然、売れてないってことだな?」


 ハハハと笑う松本おじさん。


 気にしている様子はまったくない。


 それが、ある意味ではおじさんのいいところだ。


「それで、オジサン。今日の新作は?」


 世間話もそこそこに、ガラクタを手に取りながら、私はおじさんに声をかける。


「あぁ、今日の新作はこれだ。」


 松本おじさんは、誰が見ても分かるぐらい、うれしそうな顔をすると、ガラクタの1つを取り出して私と隆に見せる。


 丸い銀色の金属のボール。電球が周りについて、その球体の金属には何本もの線が走っており、球体がたくさんの部品の組み合わせから作られているのが見て取れた。


「球体ロボット?」


「お、さすが美里ちゃん。一目で見分けるとはな。」


 自慢げに、球体をいじる松本オジサン。


 ボタンを押すと、一瞬にして球体がバラバラに分解されて、次の瞬間、人型ロボットが出来上がる。


 残念なことに、おじさんが作れるマシーンはここまでが限界。