でもそれを言うなら私だ。
何故私は此処にいるのだろうか?

私にまとわり付いた手は容易に外れない。
私は半ば諦めかけていた。




 イヤだ……
こんなトコで……
何処だか判らないけど絶対にイヤだ!!


私は何故こんな場所に居るのだろうか?


体を捩りながら頭の中で整理する。
今の私のおかれている状況を。


(多分此処はベッドの上だ。コンクリートか何かだったらもっと痛いはずだから)

腰にあたる感覚はそう結論付けた。


(ってゆうことは? まともな人達? んなことある訳ないよ!!)

バカなこと考えるもんだと自分で自分を笑う。
でもその途端に気付く。


(そうか監禁か!? 良く小さな女の子を変質者が……。あれっ!? 私小さな女の子か?)

ふとそんな思いにかられた。




 (やっぱりレイプか!? そうなのか?)

怖い……
やはり怖過ぎる……
私は何故此処に連れて来られたのだろう?


思考回路は絶不調。

それでも脳ミソ全開で考える。


あれは確かに東口前……

グイッと、突然腕を掴まれたかと思うとそのまま背後から抱き付かれた。

首元から回された大きな手が私の口を塞ぐ。


『良し行こうぜ』
一人が言った後部座席に引き摺り込まれた。


私は抵抗さえ出来なかった。

さもなければその場で殺されたのかもしれない。

第一、か弱い女子高生にはねのける力なんかある訳ないだろう。


私は神野(じんの)みさと。
高校三年生、十七歳。
まだ無垢だった。
そう、全てにおいて……




 怖い……
やはり怖過ぎる……
私が何をしたと言うの?

あぁ……神様教えてください。


私は何故此処に居るのだろうか?

でも今はそんなこと考えている場合ではない。
ただ一生懸命逃げる手段として手足をばたつかせて抵抗するだけだった。


その手が一人の男性に当たった。
手の甲に感じた違和感がそれを教えてくれた。
髭らしい、チクりとした感覚だった。


一瞬怯んだらしいソイツは、私の手を掴んだ。


その途端、目隠しが少しズレて、隙間から男達の顔が見える。

口元から涎が滴り落ちていた。
それは良い年こいた男ばかりだった。


(ヤだ。こんな男じゃヤだ!!)
私はもっと激しく抵抗した。