『初めての時って物凄く痛いらしいよ』

クラスメートが何時か言っていたのを思い出した途端に身体が硬直する。




 (痛いのイヤだ)
痙攣が起きそうなくらい全身が緊張する。

私の思考回路は完全に停止した。




 (イヤだ。こんなの絶対にイヤだ)

それでも、身体の深部がそんな自分を奮い立たせる。


(こんな場で遣られてなるものか!!)
私は何故か、もう一度意識を取り戻した。




 そうは思っても、状況は全く判らない。


(私は何故、此処に居るの? どうしてこんな目に遇わなくちゃいけないの? 私に一体何をしたいの?)

でもその答えは一つだ。
それは勿論レイプのはずだった。


そう考えた途端、又もや襲って来る恐怖心。
私はがむしゃらに抵抗するしかなかった。




 (さっき乳首だった。えー、次はきっと?)
その恐ろしい考えに全身に震えが来る。

私はそれでも何とかしようと頑張った。


とりあえず体にあたる手を数える。

合計……、六本。
つまり、三人か?

パニクってる頭で何を考えているんだろ。

そんなことより今は精一杯の抵抗。
私に出来ることはそれだけだった。

多勢に無勢……
無駄な努力かも知れないけど。




 場所は……判らない。

多分新宿の何処か……

私はさっき、新宿駅東口前で拉致されたばかりだったのだ。


何がどうなっているのかさえも判らない。
私は何故こんな場所にいるのだろうか?


体を捩りながら必死に抵抗をする。
だって、こんな男達にくれてやるためにヴァージン守ってきた訳じゃない!!


でも本当は守った訳でもない。
過疎の進んだ田舎だから若い人がいないだけ……


そう……
私はそんな場所から、今日初めて東京に出て来たんだ。




 私の田舎は海に面した村落。
父は漁師で私が小さい時に沖合いで死んだらしい。

大型客船が方向性を失って、父の船に突進して来たようだ。

でも、命の代金は多額ではなかったらしい。


だから母は海鮮工場で働きながら、女手一つで二人の子供を育ててくれたんだ。


最近、東京の大学に通っている兄貴に恋人が出来たらしい。
私は密かにそれを探りにやって来たのだった。
兄貴ったら何やってるんだろう?
母が一生懸命貯めたお金で勉強させて貰っているのに。