(もしかしたら、就活失敗の原因は……この匂い?)
まさかと思っていた。
でもそれは現実だった。
私の体に染み付いた魚の匂いは、就職先の面接官を嫌がらせていたのだった。
原因は解っていた。
きっと母の衣類を洗った洗濯機で回されるからだと思う。
母は魚をさばいていた。
衣類に内蔵やら飛び散った体液がどう防いでも付着してしまうのだ。
でもそれが当たり前になっていた。
私はその匂いにあまりにも鈍感になり過ぎていたのだ。
母が悪い訳ではない。
下着くらい自分の手で洗えばいい。
そう思う。
でも私は全てに於いて無頓着だったようだ。
それが就活失敗の原因だったのだ。
私だって免許は欲しい。
でも取れない事情があるんだ。
私はまだ十七歳なんだから……
幾ら欲しくても取れないんだよー。
ふと疑問に思った。
私を拉致した男性俳優陣は、何故その匂いに気付かなかったのだろう?
その時私は気付いた。
私は買ったばかりの下着や洋服を身に着けていた事実を。
――ビリッ!!
その音でふと我に帰った瞬間。
目を開けても何も見えない、目隠してされて感じた空気。
(えっ!? 此処何処? 今の何? あっ、洋服だ。買ったばかりの洋服が破かれている!?)
でもそれだけではなかった。
私は前日に親戚の家でお風呂に入り、言われるままに全身を磨き上げていたのだった。
やっと解った就職戦利方。
でも遅かった。
私は既に学校を通して、全ての企業の面接を失敗していたのだから。
「やはり東京しかないのかな?」
私は又独り言を呟いていた。
そうなのだ。
私は本当は東京に行きたかったのだ。
アイツのいるあの都会に。
だから真剣に向き合ってこなかったのだ。
今さらのように触れる真実。
そして想いは東京にいるはずの兄に飛んだ。
大学に通っている兄貴ではない。
歌舞伎町でホストをやっている私の初恋の人に。
改めて解ったこと。
私はあまりに考えが足りなかった。
クリーンエンジンの部品を作るのに、車の基礎さえ学んでいなかった。
だから免許が無いと言った後で態度が変わったんだ。
構造も知らない人間が、自動車部品工場で勤務することを安易に考え過ぎていたからだった。
まさかと思っていた。
でもそれは現実だった。
私の体に染み付いた魚の匂いは、就職先の面接官を嫌がらせていたのだった。
原因は解っていた。
きっと母の衣類を洗った洗濯機で回されるからだと思う。
母は魚をさばいていた。
衣類に内蔵やら飛び散った体液がどう防いでも付着してしまうのだ。
でもそれが当たり前になっていた。
私はその匂いにあまりにも鈍感になり過ぎていたのだ。
母が悪い訳ではない。
下着くらい自分の手で洗えばいい。
そう思う。
でも私は全てに於いて無頓着だったようだ。
それが就活失敗の原因だったのだ。
私だって免許は欲しい。
でも取れない事情があるんだ。
私はまだ十七歳なんだから……
幾ら欲しくても取れないんだよー。
ふと疑問に思った。
私を拉致した男性俳優陣は、何故その匂いに気付かなかったのだろう?
その時私は気付いた。
私は買ったばかりの下着や洋服を身に着けていた事実を。
――ビリッ!!
その音でふと我に帰った瞬間。
目を開けても何も見えない、目隠してされて感じた空気。
(えっ!? 此処何処? 今の何? あっ、洋服だ。買ったばかりの洋服が破かれている!?)
でもそれだけではなかった。
私は前日に親戚の家でお風呂に入り、言われるままに全身を磨き上げていたのだった。
やっと解った就職戦利方。
でも遅かった。
私は既に学校を通して、全ての企業の面接を失敗していたのだから。
「やはり東京しかないのかな?」
私は又独り言を呟いていた。
そうなのだ。
私は本当は東京に行きたかったのだ。
アイツのいるあの都会に。
だから真剣に向き合ってこなかったのだ。
今さらのように触れる真実。
そして想いは東京にいるはずの兄に飛んだ。
大学に通っている兄貴ではない。
歌舞伎町でホストをやっている私の初恋の人に。
改めて解ったこと。
私はあまりに考えが足りなかった。
クリーンエンジンの部品を作るのに、車の基礎さえ学んでいなかった。
だから免許が無いと言った後で態度が変わったんだ。
構造も知らない人間が、自動車部品工場で勤務することを安易に考え過ぎていたからだった。