私はアイツの暮らしっぷりを見て、あることに気付いた。
以前田舎の暮らしを体験させようと、ホームステイを受け入れた時のことだ。
小学生の私は東京から来たと言う中学生にときめいた。
二コ上の兄貴とは違い、私をレディとして扱ってくれた人。
私は目の前にいるホストの彼にその人を重ねていた。
(もしかしたら? あぁだから名前を知っていたのか?)
間違いではないらしい。
アイツは私の初恋の人だった。
(あぁ……やっと夢が叶った)
もう二度と逢えない人を私は愛して、もがき苦しんでいたのだ。
でも本当の苦しみはこれから来るはずだ。
ホストになったアイツを愛し続けることなんて出来っこないのだから。
初恋の人がホストになっていた。
その事実が私を苦しめる。
でも兄貴はあの日、もっと辛くなる言葉を吐いていた。
私はそれを思い出して青くなった。
『知ってるか? あの人は俺達の兄弟なんだぞ』
と――。
私はただ、そうなのかと思っていたんだ。
だってアイツが初恋の人だなんて思いもしなかったんだ。
それに、あの時はそんなゆとりなかった。
私は又、ハロウィンの日の悪夢を思い出して、思わず自分の体を両腕で抱き締めていた。
これは、後に兄貴から聞いた話だ。
私達の両親は母の実家のある田舎で暮らしていた。
それは私がまだ小さかった頃。
祖母が倒れて、母は実家に戻った。
でもそんな時に父の栄転決まって、一緒に行けない母は離婚を申し出たそうだ。
結局父は長男と家を出ていった。
その話が嘘かどうかは解らない。
でも兄貴の真面目な態度でどうやら本当のことではないかと後に判断したのだ。
あのホームステイは、祖母の最期を看取るためだったのだ。
祖母に初孫を見せてあげたくて、母が呼び寄せたようだ。
別に嫌いになって別れた訳ではない。
それでも両親はよりを戻すことはなかった。
兄貴には、アイツが私を可愛がっていた記憶があったようだ。
だから安心して委せたのだ。
(あれっ!? 確か父は沖合い死んだはず?)
ふと脳裏を掠めた疑問。
(兄貴の言葉がもし本当なら、母が嘘をついたことになる)
私は何が何だか判らなくなっていた。
以前田舎の暮らしを体験させようと、ホームステイを受け入れた時のことだ。
小学生の私は東京から来たと言う中学生にときめいた。
二コ上の兄貴とは違い、私をレディとして扱ってくれた人。
私は目の前にいるホストの彼にその人を重ねていた。
(もしかしたら? あぁだから名前を知っていたのか?)
間違いではないらしい。
アイツは私の初恋の人だった。
(あぁ……やっと夢が叶った)
もう二度と逢えない人を私は愛して、もがき苦しんでいたのだ。
でも本当の苦しみはこれから来るはずだ。
ホストになったアイツを愛し続けることなんて出来っこないのだから。
初恋の人がホストになっていた。
その事実が私を苦しめる。
でも兄貴はあの日、もっと辛くなる言葉を吐いていた。
私はそれを思い出して青くなった。
『知ってるか? あの人は俺達の兄弟なんだぞ』
と――。
私はただ、そうなのかと思っていたんだ。
だってアイツが初恋の人だなんて思いもしなかったんだ。
それに、あの時はそんなゆとりなかった。
私は又、ハロウィンの日の悪夢を思い出して、思わず自分の体を両腕で抱き締めていた。
これは、後に兄貴から聞いた話だ。
私達の両親は母の実家のある田舎で暮らしていた。
それは私がまだ小さかった頃。
祖母が倒れて、母は実家に戻った。
でもそんな時に父の栄転決まって、一緒に行けない母は離婚を申し出たそうだ。
結局父は長男と家を出ていった。
その話が嘘かどうかは解らない。
でも兄貴の真面目な態度でどうやら本当のことではないかと後に判断したのだ。
あのホームステイは、祖母の最期を看取るためだったのだ。
祖母に初孫を見せてあげたくて、母が呼び寄せたようだ。
別に嫌いになって別れた訳ではない。
それでも両親はよりを戻すことはなかった。
兄貴には、アイツが私を可愛がっていた記憶があったようだ。
だから安心して委せたのだ。
(あれっ!? 確か父は沖合い死んだはず?)
ふと脳裏を掠めた疑問。
(兄貴の言葉がもし本当なら、母が嘘をついたことになる)
私は何が何だか判らなくなっていた。


