ホストは愛の伝道師。
誰かがそんなことも言っていたな。

愛って何?
愛してもいない人を仕事だからって襲えるの?
仕事だから、仕方なく襲えるの?

いえ違う。
さっきレイプしようとしていたあの俳優達は、本当に厭らしい目で私を捉えていた。

涎が滴り落ちるその口元で、私をなめ回すつもりでいた。


ふと脳裏に、何時か見た映画のベッドシーンが甦った。

私は暫く放心状態になり、頭を抱えた。


さっきまで私が寝かされていたベッドを見る。
その途端に、テレビの二時間ドラマの映像と重なった。

私はワナワナと震え出した。


『いいじゃないか、減るもんじゃあるまいし』

さっき……
アイツの反感をかった言葉の意味は解らない。

それでも、女性を侮辱する言葉だと判断した。




 でも何で私のこと知っているの?

私はさっき名前を呼ばれたことを、やっと理解出来るような精神状態に戻っていたのだ。


(確かにみさとちゃんとか言ったよな? でも覚えがないんだよな? もしかしたらス、ストーカー!?)
私はそんなことも想像していた。


だってこんな顔の人、兄貴の友達の中にいなかった気がする。

でも飛躍し過ぎかな?

まるっきりモテたこともない私にストーカーだなんて。


そうだよ。
モテるはずがない。
田舎にはほとんど子供がいなかったんだから。
兄貴の友達は、あの子とあの子……
片手でも足りる。


(そうだよ。あんな格好いい人なんかいるはずがない……)

アイツを見ながらそう確信した。