無垢・Age17

 あの時、警察に連絡するものなら出来た。

でも俺は橘遥さんが急に哀れになって携帯を畳んだんだ。


今時ガラケーなんて流行らないと思うだろう?
ところが、ホストの世界では常識なんだ。

スマホよりスマートなんだそうだ。

名前負けしてる??
かもな。




 橘遥さんがモデルになったニュースは正直嬉しかった。

しかもあの美魔女社長で……


俺はそれに運命を感じたんだ。

社長の名前を週刊誌の記事で見た時、迷わずに購入していた。

みさとを喜ばせることより、本当は俺が嬉しかったからだ。

だから、こっそりしまったんだ。




 『王子様……』

冬休みの最終日。
契約を解消する前に寄ったマンションで、突然みさとが言った。


『だったらみさとはお姫様だな』
俺はワザと悪戯っぽく言って、みさとの背後に回り抱き締めた。

そのままずっとそうしていたかったのに……
気付いたら、みさとをベッドに押し倒ていた。


ふと我に戻ると、其処にはうつ伏せ状態のみさとが無抵抗のままでいた。


きっと、俺に全てを任せてくれる気なんだと思った。

だから、俺はみさとの顔を想像しながら、項に唇を押し付けた。


『あっ……』

シーツを掴みながらみさとが思わず言葉をもらす。

その仕草に心臓がちぎれそうなる。
俺の心はその手で鷲掴みされていた。




 長く深い一瞬。
そうなのだ。
あの日はあまり時間がなかった。

それでも俺はあの一時に、みさとに自分の愛の全て伝えようとしていた。


でも、みさとも俺に悪戯をしようとバスローブの下に洋服を着ていた。
でもきっと、してやったりと思っているはずだ。

だからこそ、胸が詰まって感極まる状態にさせてみたかった。
でも俺自体がそれに近かったようだ。




 みさとの作戦を楽しみながら、服を一枚ずつ剥がしていく。
俺はその度にワザと肌を重ねた。

みさとの身体が熱くなる。

俺と同じように、恋の猛火に包まれたのだと思った。




 項から背中。
肌を滑る様な愛撫でみさとを震い立たせるために俺は心血を注いだ。


姿が見えない分、きっと感覚を研ぎ澄ます。

くすぐったいのは通り越して、快感に酔いしれるだろう。

でも、それはみさとだけではない。
俺も、そうなりたかったんだ。


だから俺は躍起になりながらも、みさとに愛の贈ったのだ。