無垢・Age17

 でも祖母は長男の嫁が先だと言わんばかりに二人を強引に結び付けたんだ。


家業の漁師を継いだ長男可愛さだったらしい。
親父は泣き寝入りするしかなかったようだ。


だから週刊誌は、二人が撚りを戻そうと企んだ事故だと書き立てたんだ。


『あの時、何があっても結婚させておけば』
祖母はそう言ったんだ。


あの時とは、きっとみさとの父親が弟の恋人を奪おうとした時だと思えた。

いくら長男が可愛くても、やってはいけないことだったと気付いたのかも知れない。




 だから俺はもしかしたら、二人は本当の兄弟なのかも知れないと思ってしまったんだ。

勿論。
親父を信じていたけどね。

無理に別れさせられた恋人でも、母を裏切るような真似は出来ないと思ったからだった。




 俺が初めてみさとに会ったのは……
正直言って覚えていない。

俺達は物心ついた頃には一緒に居たな?

そうだ、あの赤ん坊が、みさとだったんだ。

伯父さん夫婦には子供が居なくて……
だからみさとが産まれた時、お祖母さんは物凄く喜んでいた。
でも伯母さんは辛そうだった。
伯父さんの望んでいた男の子じゃなかったからだ。


もしかしたら、あの伯父さんの笑顔は作り物だったのかも知れない。

俺はあの時そう感じていたんだ。




 俺は思い出した。
あの時のみさとの父親の目を。

みさとが産まれた時の辛そうだった目を。

もしかしたら、みさとは俺の父親とみさとの母親の間に出来た子供ではないのかと思っていたのだろうか?




 伯母さんは俺に良くしてくれたよ。
でもそれが伯父さんの癪にさわったらしいんだ。

今度は俺のお袋に目を着けた。
お袋は何も知らないで漁船に乗ったんだ。


そしてそのまま帰って来なかった。


本当なら、みさとは母を殺した人の娘だ。

でも、憎み切れない。


俺はみさとを愛しながらも、愛してはならない存在として認識していたんだ。


だけど……
もうそんなものどうだっていい。

俺はみさとを……
みさとだけを愛していこうと誓ったんだ。