――ビリッ!!

突然、何かが破れる音がする。
それが何だか判らない。

でも、それでふと我に帰ることが出来た。


なのに……
目をしっかり開けても何も見ない。


(えっ!? 此処何処? 今の何?)




 ――ビリッ!!

又音がする。

それは私の耳元で聞こえていた。
何が何だか判らないから恐怖心が先に立つ。

私は一瞬にしてパニック状態に陥った。




 ――ビリッ!!

三度目の音で、私はやっと自分の状況を判断することが出来た。


(あっ、洋服だ。買ったばかりの洋服が破かれている!?)

それは昨日、親戚のおばさんと一緒に購入した物だった。




 何が何だか判らずにきょとんとしながらも、焦っていた。


それがどんな状況なのか田舎者の私にだって解る。

それはテレビのニュースやドラマなどで毎日のように目にしていたあの犯罪行為だった。




 (えっー!?
マジで? 嘘でしょ。たちの悪い冗談はやめて!! それとも本気? あーぁ、私はどうしたら良いの?)


私はあれこれ考えながらただ震えることしか出来なかった。




 (何? 何? この状態は何?)


私は自然に頭の中で、二時間ドラマの映像と置かれた状況を重ね合わせていた。



画面に映し出される映像をみながら何時も思っていた。


(もし私だったら、最後まで抵抗して逃げてやるのに……)
と――。

でも出来る訳がない。

私は何も判らない状態のままで此処にいるのだから。




 それでも私は冷静になろうと努力した。

何が何だか判らない。
でも何か遣らないといけないと思ったのだ。


(遣られる前に何とかしよう。幸いまだ下半身は無事のようだし……)


感覚を研ぎ澄ませる。
すると何が……
胸元にあたる気配を感じた。


(えっ!? やはりブラか?)

思考回路は絶不調。

でもそれは、私に恐怖心なるものをもたらせた。


(ヤバい……ブラの次は絶対……)

そう思うと、又もや恐怖心が先に立つ。

それでも私は精一杯抵抗してやろうと決意した。


何んでこうなったのかも判らないから、思い付く限り反発してみる。
でも一向に止める気配は無かった。