「夜月……、ばか」
「……七海、ウソつき」
ふっと笑いあって立ち上がる。
「さて、帰ろっかね」
「あー、俺も帰ろ」
とドアノブに手を掛けて引く。
ガシャンッ!!
「へ……?」
な、なにこれ!?
まさか、屋上に閉じ込められた!?
「ん、七海どうした?」
「あ、開かない……。」
「はぁ?……ちっ、閉められたのかよ。」
「どうしよ……、帰れないし……。」
ここで一夜を過ごすのか……、と溜め息を吐いたとき。
体がふわっと浮いた。
「…………!?」
「仕方ねぇ、送ってってやるよ。」
そう。私は夜月に俗にいうお姫様抱っこ、というやつをやられていた。
「よっ……と」
夜月がフェンスに足を掛けて宙へ踏み出す。

