外へ出るとそこには、リアンさんがいた。
「あら、如月さんじゃなくって?」
「あ、どうも。」
……相変わらず綺麗だなぁ。
「如月さん。」
「はい?」
リアンさんに呼ばれ返事をすると
「私とシュン様は正式に結婚することになりましたの。シュン様のご友人である如月さんには知らせておこうと思ったのです。」
……結婚。
まただ。
このモヤモヤ。
「え、と。おめでとうございます。」
「それで、ひとつ聞いておきたいのですが……」
「なんですか?」
リアンさんは首をかしげて言った。
「シュン様に吸血はされましたの?」
「え、いいえ……。」
吸血。そんなことされてない。
あのとき夜月は私の血を吸わなかった。
「なぁんだ。てっきり、もう吸愛しているものだと思いましたわ。」
「吸愛……?」
「知らなかったんですか?吸血鬼にはただ食事のために血を吸うことしかできない吸血鬼と愛無しでは吸血出来ない吸血鬼がいて、シュン様たち、夜月家は愛無しでは吸血出来ない部類の種族なのです。」
「愛無し、では……」
じゃあ、あの屋上に来ていた女の子たちも……?
「もっとも、ただの食事としての吸血も出来るようですが。」
じゃあどうして私の時はやめたの……?
……そんなわけない。
私は夜月のこと、好きなわけじゃないから。

