「なぁ、七海」
「んー?」

私たち二人はいつもの場所にいた。
私は夜月シュンに呼ばれ、読んでいた本に目を向けたまま返事をした。

「お前に聞きたいことがあんだけど。」
「なに。」
「なんでお前ってフルネームで呼ぶわけ?」
「は?」

なんでフルネームでって……
"夜月"って呼ぶとなんか違和感あるし。
かといって、下の名前で呼ぶと女子から反感かいそうだし。ってだけなんだけど。


「えー、じゃあ夜月。」
「うん、そっちのがいい。」


夜月シュン、じゃなかった、夜月は吸血鬼だとは思えない笑みを浮かべた。



「あと、もうひとつ。これは……お願い、かな。」

「お願い?」