結衣は何だか元気がなかったけど、どうせまた友達とくだらない喧嘩でもしたんだろうと、俺はあまり気にしていなかった。
それよりも、外周を思いの外頑張り過ぎたのか、今になって疲れが出てきてそれどころじゃなかったんだ。
「はぁー…。マジ疲れた…。」
「海斗、外周追加とか、バカでしょ?」
「はぁ?何で知ってんだよっ。」
「陸上部の私に言う?キャプテンの声、丸聞こえだったよ?」
「マジかー。恥ずい奴だな、俺。」
「ホント、ハズイ…。」
結衣は中学の頃から陸上部に入っていて、短距離走者だ。
この小さい体のどこに、そんなパワーがあるのか俺には不思議だったけど、結衣の走る姿は滑らかだった。
風を切るとはこういう事か、と俺は思った事もあったんだ。
恥じ晒して、マジでダセぇ…
そう心の中で呟きながら俯いたまま俺に、結衣はこう言ったんだ。
「ヨコシマな事を、考えてるからだよ。」

