--- 夏休み明け。
明奈に少しだけ表情が戻ってきたんだ。
でも、まだ笑顔は見せない。
俺自身が何とか笑顔にしてやりたいと、そう思ってはいたが、それをムラムラに止められたんだ。
ムラムラが言うには…
『美樹のガードが難すぎる』
『トイレも勿論一緒』
『明奈に教室外での用事があれば、それが職員室でも入り口の前まで同行して、待ってる』
『委員会とかの用事で、男子が明奈に話しかけても、答えるのは美樹』
……。
そこまで強固にガードされていたら、近付く事すらままならないのは当然で、俺は頭を悩ませた。
その頃からだ。
山口美樹が、
【鬼母ちゃん】と呼ばれ出したのは。

