「美樹が、明奈の事を話すわけないじゃん。凄い過保護っぷりなんだよ?」
「……。」
「てかさぁ?正直、明奈が”男苦手”なのかどうかもあたしは知らないわけよ。さっきのも、見てなかったし。それに、明奈とそこまで仲良くなってない…と思う。」
『あの子、謎っぽいとこあるし…』
と、少し寂しげな顔をしながら、付け足すように言った。
そんなムラムラに、俺は気のきいた言葉をかける事も出来なかった。
俺が黙りこくっていると、ムラムラが突然ニカっと笑って話し出した。
「ま、これから仲良くなるし?情報提供と、明奈へ佐々木を推しといてあげるからさ、佐々木は柴田君に、あたしの事アピっといて?」
「お前、前向きだな?…んじゃ、とりあえず情報だけ頼むな?…てか、柴田ねぇー…?」
と、今度は俺がニヤけながらそう言ったら、ムラムラは顔を赤くしながら睨み付けてきた。
その反応が意外で、もっと弄り倒してやろうかと思ったが、また口論になるのが面倒だったから、
『まぁ、似たようなテンションした者同士、お似合いじゃね?』
と言ったら、ムラムラは更に顔を赤くしながら…
『ムカつく佐々木っ!!バカやろー!!』
と叫んで走り去って行った。
あれは…
照れ隠しか…?
あいつ笑えるっっ…
ムラムラが走り去った後、俺も直ぐに校門に向かって歩き出した。
”ムラムラ”という【救世主】に期待を込めた気持ちを胸に…

