暫くして、中村だけが体育館に戻ってきた。
俺は明奈の事を聞きたくて仕方がなかった…
けど、休憩時間が被らなくて、俺はただやきもきしながら部活動が終わるのを待つしかなかったんだ。
結局、明奈はその日の部活に戻る事はなくて、俺は帰り仕度を済ませた中村を引き止めた。
「なっ、何?佐々木君。」
「あの…さ、藤原さんは…」
俺は、何をどう聞けばいいのか話を続ける事が出来なくて…言葉を詰まらせた。
何を聞こうとしているのか分かったのか、中村は『あぁー…』と言い、頷きながら話し出した。
「明奈は、少し休んでから美樹と帰ったよ?過呼吸で気を失っただけみたいだし。大丈夫なんじゃない?」
「やっぱり過呼吸か…。てか…さ、もしかして藤原さんて男苦手なのか?」
「へ?何で?」
「先輩が、藤原さんに触れたら、ああなったから…」
「はっ?!何、何?!佐々木君、そんなとこ見てたの?!男子って練習中だったよね…?」
「や。突っ込むとこ、そこじゃないだろ…。」
「あ。そっか!」
そう言って中村は納得したらしかったが、
何故か顔をニヤつかせて…
『ムフフっ。ふーん…明奈をねー…』
と言ったんだ。
やべぇ…
厄介そうな奴に気持ちがバレた…
と心の中で呟き、溜め息をついて項垂れた。

