やっぱり話すのは、この男子生徒なんだ…
でも、何を話すの…?
そう思いながらも、返事をしないわけにはいかないと思って、私は俯いたまま、
『……どうぞ。』
と、それだけ言った。
それなのに、私の横に立つ男子は動こうとせず、また私に話しかけてきたんだ。
「膝掛けも入ってるって聞いたけど…。体を冷やすよ?…おいで……明奈。」
「……えっ?」
この人、私の名前を知ってるの?
そう思いながらも、私は勢い良く顔を上げて見たんだ。
そこに立っていたのは…
「ナっっ……ナオ……。」
この学校の制服を着たナオだったんだ…

