明奈の嘘くらいは見分けられるんだ。
その返事が本心でない事も分かっていた。
俺の事が好きじゃなくなったわけでもない。
じゃあ、理由は何?
その理由を必死になって考えてみたものの、俺には分からなかったんだ…。
修学旅行以降、明奈は俺が話しかけられない様に避け続けていた。
そのタイミングで、平山が俺の側に居るようになった…。
平山が、笑いながら俺に言ったんだ。
「明奈の別れたい理由ってね?修学旅行の時に、私達が仲良く話してたのを見て、嫉妬したからみたいよ?話してただけなのに変だよ明奈。私達、ある意味共犯者だね?岩倉君。」
正直、明奈がそんな事で焼きもちを焼くだなんて有り得ないと思っていたんだ。
平山が嘘をついているだろう事も。
だけど、理由すら聞けずに避け続けられていた俺は、予想以上に弱っていたんだ…。
それなら、もう、いっそ、
その嘘の理由でもいいと思った…

