片想連鎖 ~伝えたい心~



「何で戸を開けておかないといけないの?」


「んー…。逃げられる様に?」


「えっ?何から?あー!地震とかなら確かに開けておいた方がいいよね!」


「……。」


”逃げられる様に”じゃなくて、
”悪さをしない様に”の方が良かったかな…?


そう思いながらも…
『そうだね。』
と言って、俺は明奈に笑顔を向けたんだ。


明奈は、心がまだ幼かった…
俺に対しても”特別”な意識はあるけれど、”男”としての意識はしていなかった。
それは明奈の無防備さで良く分かっていたんだ。


俺は明奈に嫌われたくないと思う反面、
”男”として意識して欲しいと思っていた…。