片想連鎖 ~伝えたい心~


--- その日の放課後。

部活に向かおうとする俺の制服の裾を掴んで、明奈が俺を引き止めた。

きっと、明奈なりに返事をしてくれようとしているんだろうと思った。


まだ、クラスメイトが疎らに居るな…
ここで聞くのは無理だ…


そう思った俺は、明奈の手を引いて音楽室に向かったんだ。

音楽室に入って戸を閉めると、明奈は声を裏返しながら話し出した…。


「あっ!…あのね?!ルーズリーフの…事なんだけど…ね?」


そう尻窄みに言った明奈は、そのまま黙り込んでしまったんだ。

その沈黙に”あー…フラれるのか、俺”と、これ以上にない位に心臓はバクバクと打ち付けていた。

しばらく俯いて黙っていた明奈が、突然バッ!っと頭を上げて真っ赤な顔をしながら言ったんだ。


「ふっ…ふつつか者ですが!よっ…よろちくお願いしましゅ!!」


えと…もしかして嫁に来る…?
てか、明奈…
噛んだ…


笑ったらいけないとは思いながらも、明奈が慌てている姿があまりにも可愛くて…

『ぷっ』と、笑ってしまったんだ。

明奈は真っ赤にしていた顔を隠して、
『もぅ…、恥ずかしすぎる。私っ。』
と言った。



その時、俺は明奈を”愛しい”と思った…