翌日、明奈は本当にクッキーを作って、持ってきてくれた。
クッキーをタッパーに入れて持って来るところが、明奈らしいなと思った。
自宅に帰ってからタッパーを開けて、クッキーを手に取ってみたら、予想外に普通の出来栄えで驚いたんだ。
それを口に入れた時、更に驚いた…。
クッキーのはずのそれは、煎餅級の硬さだったんだ。
「ここに来てオチがあるだなんて…ククッ!」
やっぱり、明奈は明奈だと思った。
クッキーを食べ終えた後にタッパーを洗い、買ってきたイチゴを代わりに入れた。
小学生の頃から知っていた明奈の好物。
きっと明奈は喜んでくれる…
俺はそれをピンク色の巾着に入れ、その口を締めた。
「あ。どうせならクッキーの感想とか書いて渡してあげた方がいいかな。今後の為に。」
その時は、本当にそれだけを書くつもりだったから、俺はルーズリーフをバインダーから取り出し、書き出したんだ…。

