事件簿

「言い訳じゃねえんだって!あれは咄嗟に新八が!」
「とにかく、まずはお茶をどうにかしなければ。」

斎藤の一言で再びまた我にかえる原田。

「でもなー花鈴の茶っぱ全部ないんだぜ?」
「今は別のものを出すしかないだろう?」
「そ、そうだな!」

斎藤がテキパキと湯を沸かし始める。

と、そこに…

「おい、誰かいるか?」
「げっ!土方さんの声じゃねぇか!」
「お、おい土方さんのお気に入りの湯のみは何処にあるんだよ!」
「ここだよ、ここっ!」

沖田の後ろに粉々になった湯のみがまとめられている。

「えぇ?今度は僕がする番なの?」

不満そうな沖田だったが、土方が見えると行き場を塞ぐ。

「なんだ?総司。」
「なにって、土方さんの邪魔をしてるんですよ。」
「ぁ?いい加減やめやがれ。」
「土方さん、台所になにかようですか?」
「さっき花鈴にあってな。お茶を平助たちがいれてくれるって聞いたからな。俺も貰おうと。」

げっ!と後ろで聞いていた斎藤たちがびくりと身体を震わせる。

「へぇ、そうなんですか。じゃあ花鈴の部屋で待っててください。たしか新八さんもいるはずですから。」

にこり、と黒い笑みを浮かべる沖田に土方は引きつった表情をする。

「お、おう。じゃ、じゃあよろしく、な。」

土方の姿が見えなくなるまで沖田は入り口をみはった。

「で、一君。終わった?」
「こんな短時間で終わるわけがないだろう?」

チッと舌打ちした沖田はやれやれと柱に寄りかかる。

「んじゃさ、お茶菓子もつけた方がいいのか?」
「お、そうだな!花鈴も喜ぶだろうしな!」
「副長は喜ばないだろう?」
花鈴も土方さんの場合は花鈴に全てやっちまうだろ。」

土方の分はいらないとでもいうようにひらひらと手を振る原田。

「よし、できた。あとは花鈴の部屋に運ぶだけだ。」

斎藤がお盆にお茶を乗せると、藤堂はお茶菓子をもって花鈴の部屋に向かう。
その後を原田と沖田がついて行く。

「いいか、平助。ばれねぇようにすんだぞ?」
「わぁかってるって、左之さん。」

忠告をする原田ににっと藤堂は笑う。

「いくぞ。」

斎藤の一言でみな静かになる。