斎藤と沖田が猫の後を追う。

「台所は任せたからねっ!」

そう言い残し、ドタドタと廊下を走っていく。
残された3人はちまちまと残骸を取り始めた。

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「何この猫っ!」
「っ!総司!そっちに行ったぞ!」
「わかってるって!」

いい男が廊下を一斉に走っていく。
と、曲がり角で沖田が誰かとぶつかった。

「いっ!」
「っう…誰だよもう。」

沖田とぶつかったのは、山崎だった。

「沖田さんに斎藤さん。なに廊下を走っているんですか。」
「うるさいなぁ、山崎君も。なにって猫を追いかけてるんだけど。」
「総司、いまここで言い争う余裕はないだろう?猫が何処かへ言ってしまった。」

はぁ、と斎藤は猫が走っていった後を見つめる。

「なにそれ、僕のせいじゃないし。」
「言い訳は後でいい。今はこの状況をどうにかしなければいけない。」

わかってるってと沖田は呟き、猫を探しはじめた。

「斎藤さん、なぜ猫を?」

やっぱり不思議だと思ったんだろう、山崎は斎藤に問う。

「先ほど猫が台所へと入ったらしくてな。副長の湯のみが壊れ、花鈴の愛用している茶っぱも全て地面に落ちてしまった。」
「それがあの猫の仕業だと?」
「それしかないだろう。何せ花鈴の愛用している茶っぱを、落としたのだ。」

山崎をようやく理解したのか、手伝いますと言う。

ニャーーッ

「「「あっちだっ!」」」

広間の方から再び猫の声がし、沖田と斎藤、山崎は一斉に走り出す。

「沖田さんっ!行きましたっ!」
「ちょっと山崎君、僕に命令しないでくれないかな?」

ギャーギャーと言い争う2人に斎藤は呆れ、猫を追う。

ドタドタドタドタドタドタ…

いきなり広間の戸があく。

「うるせぇっ!!!もう少し静かにしやがれっ!!!」

鬼の表情をした土方が3人と、猫の前に立つ。

ニャーーッ

猫はなおきにせずに、屋根へと登って行った。

「ふ、副長…」

意外な展開に斎藤は情けない声を出す。