最愛~あなただけが~

 会計で私は半分出そうとしたけど、鷹野さんは、残業代だから。と言って、受け取らなかった。



「あの、本当に良かったんですか?
 私、奢っていただいてしまって。」

「いいって。
 その代わり、今度弁当でも作ってきてよ。
 オレ、和食が好きだから。
 甘い卵焼きと、筑前煮とか入ってたら喜ぶ。」

 恐縮して聞いた私に、鷹野さんは笑って言った。

「そんな安いお返しでいいなら、喜んで。」

 会話を交わすたびに、お互いの口から白い吐息が漏れる。


「今日は、残業とメシに付き合ってくれてありがとう。
 都築さんの武勇伝、面白かったよ。」

「私も。鷹野さんのお話、面白かったです。」

 じゃあ、お疲れさん。と、鷹野さんは車に乗り込んだ。

 私も、自分の車に乗り込む。


 エンジンをかけると、まだ冷え切ったエアコンの風が顔に当たった。
 急に寂しさが押し寄せてきて、視界が滲む。
 まるで、真夜中0時の魔法が解けたシンデレラのような気分・・