最愛~あなただけが~

 通りに並んだ居酒屋やバーの店先に飾られた、クリスマスツリーやイルミネーション。
 冷たい風が足や耳に刺さりそうだけど、そんなのへっちゃらに思えるくらい、こんなふうに鷹野さんの隣を歩けることが嬉しい。


「さすがに夜は寒いな。
 都築さん、足元、大丈夫?」


「ありがとうございます。大丈夫です。」


 私の歩幅に合わせて、ちょうどいい速度で鷹野さんは歩いてくれる。
 鷹野さんには何の意味もないことかもしれないけど、嬉しくなる。


 佳は、そんなことしてくれない。
 他人に合わせるようなことはしない。

 だから、鷹野さんの優しさに惹かれる。




「ここ。」


 鷹野さんが立ち止まった居酒屋。


「よく来るんだ。店の雰囲気が好きで。」



 中に入ると、確かに、落ち着いた雰囲気だ。