「ココア、あったかいうちに飲みなよ。 ちょっとホッとできるから。」 「ありがとうございます。いただきます。」 ココアの甘い香りが鼻をかすめる。 寒い屋上だけど、 午前中の仕事に疲れたけど、 鷹野さんからもらった缶ココアと、鷹野さんのさり気ない優しさで私の心と身体はじんわり温もっていく。 この忙しい毎日で、鷹野さんの優しさは救いだった。 たとえそれが、部下に対する単なる責任からの優しさだったとしても。